嗜欲のない書
2011年2月18日 § コメントする
今晩のテレビで金澤翔子さんという書家の番組があることを書の先輩から教えてもらいました。
それを見ました。
ダウン症で生まれて母子家庭の中で母親から書を学び、立派な書を書くまでに成長された方の話でした。
般若心経を書いたものが映ったときには、お!、と思いました。
書家がそれを評して誰にも書けないと言っていましたが、誰にも書けないという以上に一瞬で飛び込んでくる何ものかがありました。テレビに映っている小さな画面の中なのですが。 井上有一が「メチャメチャ、デタラメニやっつけろ!」と言って書いているのとは違います。 その意識すらないところで書いているようですから。
前に読んだ「反アート入門」という中に、矢代幸雄著「水墨画」という本が紹介されていてそれを読んでいるところですが、ちょうど同じような心の有り様の話がありましたので引用いたします。
中国の荊浩という人の「筆法記」の話の中で
「華すなわち外形の美と、実すなわち内面の真と、の区別をよく認識することが、最も画道に肝要であって、華をもって実と勘違いしてはならぬ、外形を似せただけでは真は得られない、従って画ではない、と警告するのである。・・・・・中略・・・・・似とは形だけを得てその気を遺したもの、真とは気と実質とともに盛なるもの。およそ気が外形美にのみ拘着して、物象自体から脱けてしまうと、物象は死ぬ、画にはならない、というのである。」
水墨画の話ではありますが書でも何でも、すべての芸術、アートに通ずる話ではないでしょうか。
意識と無意識の難しい話になるのでしょうが、ともかく今日のテレビに見た書は大したものでした。
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