歌会始より
2012年1月12日 § コメントする
歌会始の今年のお題は「岸」。
天皇陛下
津波来(こ)し時の岸辺は如何なりしと見下ろす海は青く静まる
ヘリコプターで被災地を移動中にその印象を詠まれた歌ということです。未曾有の災害をもたらした海も静まっていて、恐らく信じられない思いを抱かれたのでしょうか。津波の映像をかぶせると自然の恐ろしさが隠れた歌に読めます。
皇后さま
帰り来るを立ちて待てるに季(とき)のなく岸とふ文字を歳時記に見ず
望みと失意がない交ぜになっていつまでも帰りを待って立ち尽くす人の姿を見るようです。グッときてしまいました。
常陸宮さま
海草(うみくさ)は岸によせくる波にゆらぎ浮きては沈み流れ行くなり
この歌はさりげなく、しかも鋭い歌だと思いました。いろいろな事を読むことができて、歌としてのうまさを感じます。
選者 永田和宏さん
舫ひ解けて静かに岸を離れゆく舟あり人に恋ひつつあれば
作者は昨年河野裕子さんを亡くされました。その悲しみが伝わってきます。
入選者 福島県 沢辺裕英子さん(39)
巻き戻すことのできない現実がずつしり重き海岸通り
日本のみんなが巻き戻したいと思っているはずです。本当に重たい物を、重くて背負えない物を作ってしまいました。
入選者 大阪府 伊藤可奈さん(17)
岸辺から手を振る君に振りかへすけれど夕日で君がみえない
入選者の歌は年齢順に掲載されていて、この歌が最後にありました。ああ、青春!。気持ちが和みました。
来年のお題は「立」。

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